6.29.2013

UNTITLED

走るしかないのに歩く足も持たず暮れ行く藍
指の先の爪の先のその先で慄える儚い愛
言葉戯びは音もなく風呂の底へ沈む


魔法の言葉は3words

や、なんのためのあれなんよ。

如何して少年は一秒足りとも電車の中でじっとしては居られぬのか。
如何して少女は泣きながら廊下を走らずにはおれんくなるのか。
如何しても限界効用は逓減せざるを得ないのか。

何時しか少年は足元に現れた底の見えない絶望の前に立ち竦み、
少女が絶対零度の水温で夢から覚めたとしても、
痛い程の誠意だけをその胸に、
強かに前を向け、
何者からも欺かれることなかれと、
声を大にして叫んでくれよう。
描きたいのは、そういう者であり、
生きたいのは、そういう世界である。








6.26.2013

言葉櫻葉言葉言葉譫言言葉言葉

神田川満開の櫻花弁燃やせば立ち昇る煙充ち満ちようと
在りし日の匂いまでもは上書かれぬ
上書よ、上書れ得る質量を持ちて生まれし青い果実が軅熟して土へと還るを拒めども
否と抗う浅ましい言葉など言葉など言葉など
持っては生まれて来なかったのに


6.25.2013

さあさあタイトルを当てませう

過去はたとひ青き、酸き、充たざる、如何にありしとも、
今は甘きか、匂はしきか、今は舌を刺す力あるか、無きか、
君よ、今の役に立たぬ果実を摘むなかれ。

晶子

6.23.2013

Bonne nuit

おやすみその日は涙に暮れる日おやすみ哀しいさよならのすべておやすみ書きかけの物語おやすみ花束の傍らでおやすみ羊を失ったSANTIAGOおやすみ光太郎智恵子おやすみ借りたままの譜面おやすみ先延ばしにされた決断も告白もおやすみ、みんな6月のMASSの中で

6.20.2013

れくいえすかといんぱーせ

帰路、22時も過ぎましたのにウォッカかっくらって団地のブランコ揺らしまくりましたら、ぐわんぐわんの視界の上に、もやんもやんの雲間から、モザイクばりの満月がぼわっとこんばんはしまして、もう一年が経ちますのに、どうやら約束は果たせそうにない。

お客さんに「最近年のせいか、空を見上げることもなくなったよ。ま、普通にしてたら見やんでしょ?空」と問われ、じ、自分空しか見てない阿保です所以、「帰り道暇なんで、そ、空しか…!」と答えつつ、コンクリートぶち抜きの天井を仰ぐは同時。




6.16.2013

KさんのKは弁慶の慶

中高と、概して「先輩」と敬称づけられるグルーピーとは、さして折り合いがよくなかった。
6年間血を血で洗い続け、もう二度と部活動的な活動はしないと誓った17の春、何を血迷ったか、とらんでもいい体育の授業で剣道を選択したわたしは、そこで生まれて初めて本物の「先輩」と出遇った。

Kさんは、少年のような女性だった。あの、信長のお付きのなんだっけ、あ、蘭丸、そう、蘭丸のイメージそのものの、つくねんとした小作りな美少年といった風貌であった。
背は150cmあるかないか、いつも同じような動きやすさ重視の地味な服装をしており、短く切り込んだ直毛はわたしの二倍はあろう大きな瞳と同じように黒々と煌めいていた。

Kさんは一浪しており、学年は2つ上、年は3つ上だった。これには驚いた。
Kさんは、わたしが高校時代の癖が抜けきらず「先輩」と呼ぶのを厭がった。
Kさんは敬語を使われるのを厭がった。
Kさんは携帯電話を持っていなかった。
Kさんは教授のお伴でアメリカのグレートなんちゃらやらオーストラリアのこれまたグレートなんとかやらを頻繁に行き来しており、聞けば文化人類学というのを勉強しておられるそうな。

当時今より100倍繊細だったわたしは、毎週毎週剣道の後、茹蛸のように湯気を出しながら生協で98円のリプトンのマスカットティー(時々ピーチ時々レモン)を一気に飲み下しつつ、「人生とは何か」というこの世で一番不毛な問いを、紅茶臭い息でKさんに
ぶちまけていた。

この甚だ迷惑極まりない後輩からの問答に、Kさんはよく透る柔らかい京都弁で、いつも真剣に、的確に応えてくれはった。情けない事にその回答の詳細な内容は記憶していないのだが、ただひたすら、Kさんの口から出る報えは常にわたしの柔い心の琴線をビンビンに揺らしまくっていたことだけが、体感として残っている。

その様子があまりに大人で、あまりに悟っておられ、あまりに素敵すぎるが故、つい
「先輩はこんな、悩んで、うううううううってなってしまうことなんてないですよね。」
と呟いたわたしに、Kさんは、生協の細い細いストローの中にビチビチに詰まって身悶えもできひんアロエ果肉を見つめながら、いつもと同じように穏やかで淡々とした様子で云った。
「あんな、うち、高校3回生のとき、眼えみえなくなってん。
進学校やって、きっかけは受験のストレスとかそんなんやけど、周りと自分の違いみたいなんが浮き彫りになるやろ。したら周りの人らが何考えてんのかようわからんくなって、いろいろ考え込んで、ほんでしばらくたったら、今度は耳がよう聞こえんようなってな。」
「真っ暗なんよ。ほんまに、初めて知ったわ。そういう世界のこと。そっから引っ張りだしてくれた人が、まあ予備校の先生なんやけど、その人が文化人類学やっててな。人間を、知る学問やって。」

わたしは自分がその後何と返したかを覚えていない。

Kさんとは、一年後、剣道の授業が終わったと同時に自然とお互い忙しくなり、疎遠になってしまった。なにしろ彼女は携帯を持っていなかった。
最近、思い出したようにfacebookでKさんの名前を入力してみたが、出て来ない。なにしろ彼女はきっとそういうものをやらない人なのだ。
Kさんに会いたい。Kさんはきっと大学に残って立派な文化人類学者になってはるのやろうなと思う。そうであってほしいなと、心のどこかで思ってしまう。
なにしろKさんは永遠にわたしの憧れの先輩なのだから。
でも、何をやっていても、Kさんが幸せならなんでもいい。
ほんで、あのときKさんに丸投げしていた質問を、ようやくわたしは自分の脚で立って、考え始めましたと伝えることができたらいいのになと、思うのだ。










6.14.2013

外人からしてみりゃ花子

えらいこの頃世間様は野中ユリ再燃中であるな。

野中ユリは、是非弥生美術館とかでしっぽりやってほしいというベタな希望。

何がスゴイッて、野中ユリという名前がすごいではないか。
少女か、ばあさんにのみ付随することが赦される発音記号だと思う。

野中ユリ、嶽本野ばら、ちょっと似てる気がする。名前が。
や、似てるどころか同じ原理ですわ。

乙女たる者、こう、っていう、振り切れっぷりが、むしろ男前であるな。




















6.13.2013

独り言

や、装飾美的なものや、話法や諸々の技法は誰でも修得可能であるからに、本当に大切なものは、中の実であることを忘るることなかれと改めて己に云いきかせる。
様式美とは、あくまでも型式的なものよ。
そんなもの壊してしまえばいいと思えばこそ、学ぶ意義があるってもんよね、せんせ。


6.12.2013

廻らぬ頭を廻してみれば

文章てえのは、主語と形容詞から腐るらしいですぜ、旦那。

読むに耐え得る明瞭さと、詠むに耐え得る美しさっつうのは中々如何して上手い具合に同居してはくれぬものか。

己も漸くしてギヤラリストの端くれ、画はどうであろうか。
見るに耐え得る美観と観るに耐え得る奥深さの同棲よ。

ま、好みだわな。

ジム募集中

好きな台詞というのが有る。
有島武郎の一房の葡萄の中に出てくる
「ジム、あなたはいいこ」
という一言である。

私生活でこの台詞を呟いてみたいと願い続けてきたものの、中々ジムという名前の少年と出会えないままいまに至る。
間違ってもショーペンハウアーとかではいけない。
デイビットとかジュリアンとかクリスでもない。
ジムでないと。

仕方ないので物云わぬサボテンに向かい
「サボ、あなたはサボコ」と呟いてみる。

梅雨の走りである。

エミルベルナールよ、

こう、何とも、ただひたすらに、ゴーガン好かんねんあかんねんうざいねんみたいな感じが、じりじりと、よおく伝わってきて、良い序文であった。


終業と共に息を切らし駆け込みましたのに、ユリイカが一冊もござらんなんて、全力で見損ないましてよ、教文館…!
かのこはない、晶子は詩がない、見渡せば違う出版社の同じ作家の本だけではないか。しかも芥川は歌集がない。青空文庫の圧勝である。元を正せば基督教専門書店につき、日本文学とかイッツ ノット マイ ビジネスというわけか。納得。
ついぞうっかりカートヴォネガットと共に外に出る。
背中がバキバキに痛い。

かのこすげえ

もののイージーな部分にまみれないではっきりとして客観的にものを観察出来て、結局ロング・ランには正当に自己を処理させるに違いない。

だって‼‼
なんじゃこの文面白すぎやろがい‼‼

6.11.2013

は、お前なに戯けたこと云ってんのよん

頭悪いんじゃないのよん
世間知らずじゃないのよん
そういう自分もそうやのよん
だから余計に腹立たしいのよん
顔洗って出直してきなよん
ふっざけんじゃないのよん
殺伐としてきましたのよん
涙が溢れて参るのよん
でも立ち上がるしかないのよん
自分で自分が怖いのよん
でも立ち上がるしかないのよん
純粋培養1番嫌いなのよん
でも立ち上がるしかないのよん
この感じあのときと同じですのよん
でも立ち上がるしかないのよん
腑が煮え繰り返るのよん
次は終点ですわよん

あー花火してえ

「息だけで1、2、3て数えたら、すぐに飛んで。直ぐに。」
「でももう花火はあと2本しか残ってないんだ。」
「心配しなくていい。ここにマッチが1本残ってる。」
「マッチだけで飛ぶなんてそんな馬鹿なこと言わないでくれ。」
「誰がマッチでは飛べないなんて言ったんだい?」

大幅なダイヤ乱れ。今年は絶対に花火をするのだ。台風が来る。
息もできない。ダイヤが大幅に乱れているから。
振り払っても振り払っても瞼の裏。
呼吸もできない。打ち上がって破裂してしまえばいい。
わたしの最後のマッチ。





6.10.2013

ヨシダ!!!今日ゼッタイ俺ンち来いよ!!!!!

っていう絶叫が開けた窓から流れ込み。小学生ってすぐ絶叫するのよねふふ。大学生くらいまで絶叫しておったけども。

もうこれしかああああっていう素材があったのですけども、どうにかこうにか半分くらい過ぎたところで己の稚筆で台無しにしていることに気付き、一度寝かせることにした。
そのかわり、何でもいい、何でも良いから手だけは動かし続ませう、足りない部分は補っていかんとせばという、6月ももう半ば。休日に、語彙を増やさん、ひたすらに模写。

青チヨオク ADIEU と壁にかきすてて 出でゆきし子の ゆくえしらずも  芥川